仕事中に介護職が私服で働く施設は増えつつありますが、現状では制服を貸与する介護施設が大部分を占めています。介護職が着用する制服の特徴で代表的なのは、ボタンやポケットの数が極力少なくなるようにデザインされていることです。
実際に、入浴介助をしている最中に、要介護者の髪の毛が職員の制服のボタンにからまるトラブルが過去にありました。ベッドから車椅子に移動する際に、要介護者の指が職員の制服のポケットに引っかかった事例もあります。これらのトラブルを受けて、安全性を高めるためにボタンやポケットの少ない制服が多く採用されるようになったのです。
また、食事や排泄の介助をしていると制服が汚れがちなので、速乾性のある素材が用いられる傾向もあります。介護職の制服には動きやすさだけでなく、洗濯のしやすさも求められています。なかには制服をクリーニングに出す頻度を減らすために、食事や排泄の介助時に専用のエプロンを支給する介護施設もあります。
そして近年はダイバーシティの一環として、男女の職員の制服を統一する施設が散見されるようになっています。かつては、トップスとして着用するポロシャツを男女で異なる色にする介護施設が多くありました。しかし介護の現場で働く職員のなかには、トランスジェンダーの人もいます。
現在の介護の現場ではそのような職員の心情に配慮して、ポロシャツの色分けをなくす動きが出始めているのです。男女のどちらが着用しても違和感のないホワイトやベージュの制服が増加しているのは、介護施設にもダイバーシティが浸透していることの表れだといえます。